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Novel Creator として創作活動しています。小説『ネット恋愛』・・・3の倍数日に連載中☆ミ・・・☆

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小説『ネット恋愛』第1章 第3話 チャット
第①章 出会い  

第3話 チャット


 ある日のこと、僕はケータイの簡易インターネットで『チャット』と呼ばれるサイトを知った。
 チャットとはコンピューターのネットワークを利用して、主に掲示板などを通して、リアルタイムで文字による会話を行うシステムのこと。ケータイひとつで、通話することなく手軽に他人とのコミュニケーションが行える。しかも無料で利用できるということで、暇人な僕はチャットを始めてみたのだった。

 チャットでは、利用者たちはハンドルネームと呼ばれるインターネット上での名前を使って文字による会話を行う。

 ハンドルネームは自由に名づけることができる。僕は『スナフ』というハンドルネームを使ってチャットを始めた。

 しかしすぐに問題にぶち当たった。

 チャットには『ルーム』と呼ばれる幾つかのチャット用の掲示板があり、ひとつのルームには複数の利用者が参加できる。しかし集団の中で会話をすることが得意でない僕は、多人数によるチャットの中で、チャット利用者たちの“会話”から取り残されるようになったのだ。チャットでの会話の流れに上手く乗れないと孤立してしまい、そうなるとつまらなくなってしまう。そうなってはチャットのサイトから、自分から“落ちて”いくしかなかった。

 しかし毎回そのようなパターンになるとは限らなかった。時にはルームの中で話題の中心となり、複数の人と上手くチャットができることもあった。だけどそんなことは稀だった。

 やがてチャットをやめたくなる出来事が起こったのだった。



 チャットがきっかけで、少しばかり親しくなった女性がいた。彼女は二十一歳。それが事実なら僕よりも二歳年下ということになる。

 チャットの中で、二十一歳の女性と二人きりになったときに、彼女に求められるままにメールアドレスを交換した。それは僕にとって、初めてのメル友ができた瞬間だった。そして僕は、女性との初めてのメールに興奮した。なぜなら、女性との一対一でのメールのやりとりは、まるで密室で二人きりで会話をするような感覚を覚えさせたからだった。

 もしこのままメールを通して仲良くなれば、この“メル友”の女性と付き合えるかもしれない。そんな期待を膨らませていたら、ついにその女性から誘いのメールが来た。

 『今度、池袋でオフ会をするので参加しませんか?』

 オフ会とは、チャットなどのネット上で知り合った者同士が、実際に集まって飲み会などを行うこと。

 オフ会ということは、あのチャットの常連メンバーたちで集まるということか。

 メル友の女性と二人だけで会えると期待していた僕は落胆した。だけど、メル友女性の顔を見てみたいという理由だけで、オフ会に参加することに決めた。

 やがて週末の土曜の夜、池袋の繁華街にある居酒屋に集まったのは、僕を含めて六人。女性はメル友である彼女ひとりだけ。彼女はなかなか可愛い顔をしていた。

 しかし僕は、衝撃の事実を知ることになる。

 なんと、オフ会に参加している男性陣すべてが、彼女のメル友でもあったのだ。さすがにこの事実を知った僕は、彼女を独占できているという自分の思い込みに面食らってしまった。そのうえ、今回のオフ会参加者の僕以外のメンバーたちは、ずっと以前からの仲良しグループだったのだ。当然、新入りの僕は、そんな彼らに馴染むことができなかった。そしてついに、チャットのみならずオフ会での会話からも取り残されてしまったのだった。

 そんなつまらない思いをしたオフ会終了後、参加者唯一のメル友女性と池袋繁華街の通りで二人きりになった。僕は、彼女と何を話すこともなく、ただ道路の端に腰を下ろして夜の通行人たちを眺め続けた。彼女は、オフ会で孤立してしまった僕に申し訳なく思ったのか、気を使って一緒にいるようだった。

 「今度は二人きりで飲みたい」

 僕は唐突にそう呟いた。

 「また次のオフ会のときに飲もうね」

 僕からのさりげない誘いは、彼女にさりげなくかわされた。

 やがて、一緒にいる彼女の退屈そうな表情を見てとった僕は帰ることにした。

 僕は、オフ会に参加した土曜日以降も、何となくチャットに参加し続けた。しかし、メル友女性から届いた一通のメールがきっかけで、チャットから離れることに決めた。

 『明日からルームの男の子たちと実家のある秋田県に行くのでチャットはお休みします』

 このメールを読んだ僕は疎外感を覚えた。そして彼女との関係に発展の見込みがないことを痛切に感じた。同時に、チャットに対しても面白みを感じることはなくなった。

 こうして、それが彼女との最後のメールになったのだった。







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