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Novel Creator として創作活動しています。小説『ネット恋愛』・・・3の倍数日に連載中☆ミ・・・☆

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小説『ネット恋愛』第1章 第5話 大阪のメル友
第①章 出会い  

第5話 大阪のメル友


 僕は手始めに、十件の女性を選んで簡潔なコメントを残した。彼女たちの住まいは東北、関東、東海、関西、九州など全国各地に及んでいた。やがてそれら十件のうち、六件から返信があった。返信確率としては上出来なほうだ。
しかし返信があったからといって喜ぶのはまだ早い。六件の返信があってもメールアドレスを聞き出せなければ意味がない。それに、すべての女性がメールアドレスを教えてくれるとは限らない。なかには警戒心が強い女性もいて、サイトを通しての間接的なメール交換のみを望むケースもある。そして、たいていそんな女性とのメールは長続きしない。早々と自然消滅するのがオチなのだ。

 僕としてはサイトを通しての間接的なメール交換よりも、お互いのケータイを直接通しての“直メール”によるメール交換が良いのだ。

 その理由は、僕の性急さにあった。

 手っ取り早くカノジョを作りたい僕としては、メールアドレスを教えてくれない女性とのサイト経由メールは“見込み”が薄いと判断してしまう。そしてそれは時間の無駄だと思えてしまうのだ。

 逆に、メールアドレスを教えてくれる女性は僕に対する警戒心が薄い、別の言い方をすれば、ガードが甘いわけなので“見込み”ありと判断できる。性格的にも少し気が短い僕としては、カノジョになりそうもない見込みの薄い女性と悠長なメールなどしたくはなかった。そんなことをするくらいなら“見込み”ありの女性を新たに探し出すことに時間を費やすほうが良いのだ。

 僕が書き込んだコメントへの返信があった六件の女性のうち、メールアドレスを聞き出せたのは三件だった。

 三件の女性は岩手、大阪、宮崎在住だった。

 三人とも東京から遠い。

 これでは、せっかくメールで仲良くなったとしても簡単には会えない。しかも岩手の女性にはカレシがおり、宮崎の女性は主婦だった。カレシ持ちや主婦相手では見込みナシなので、そのような相手に対しては情熱が瞬く間に冷めていった。当然、岩手や宮崎のメル友とは、次第にメールを交わす頻度が減っていった。やがて僕のケータイのアドレス帳には、彼女たちのハンドルネームとメールアドレスが無機質のように残るだけとなるのだった。



 三件の女性のうち、メールが続いたのが大阪のメル友“りな”だった。年齢は僕と同じ二十三歳で、カレシはいないらしい。

 “りな”とは毎朝の『おはよう』メールから、深夜の『おやすみ』メールまで一日五、六回ほどメールを交わした。カレシがいない女性とのメールは、僕にとって希望に満ちた存在であり、それはもう楽しいメールだった。

 そんなメールを数日交わしていると次第にメールの内容が変化してくる。女性と二人だけで交わすメールというのは、男にとってある種の興奮を覚えさせ、次第にそれは下心となってくる場合があるのだ。

 下心というのは時として正しい判断を狂わせるもの。そしてそれは夜になると露わになり始める。やがてついに僕の下心は、文章化されたメールとなって、大阪の“りな”まで飛んでいったのだった。

 『エッチな話をしようよ』

 そんなメールを送信した僕は、折りたたみ式のケータイを閉じて“りな”からの返信をワクワクしながら待った。

 しかし、なかなかメールの返信が来ない。

 いつもならすぐに返信があるものなのに、僕のケータイは、いつまでたってもメール着信のメロディが鳴ることがなかった。

 シャワーでも浴びているのかな?

 僕は何度も何度もケータイを開いて画面をチェックしてみるけれど、着信を知らせるメールのマークを認めることができなかった。もしかしたらメールサーバーにメールが留まっているのかもしれないと思い、新着メール確認を何度も何度も行ってみたけれど、誰からのメールも見当たらなかった。

 結局、その夜は“りな”からの返信はなかった。

 夜十時を過ぎているし、きっと眠ってしまったんだ・・

 そう解釈した僕ではあったけれど、女性とエッチなメールのやりとりをしたくてしょうがなくなっていたので、疎遠になっていた岩手と宮崎のメル友に久しぶりにメールを送ることにした。うまくすればエッチなメールを交わせるかもしれないと考えたからだった。

 『元気してる?』

 まずは返事をくれるかどうかを試す意味で簡潔な文章のメールを送ってみた。

 しかし、岩手と宮崎のどちらからも返信はなかった。

 なんとも寂しい夜になったのだった。




(次回の、小説『ネット恋愛』の更新は9月21日の予定です)



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