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Novel Creator として創作活動しています。小説『ネット恋愛』・・・3の倍数日に連載中☆ミ・・・☆

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小説『ネット恋愛』第1章 第9話 書店にて
第①章 出会い  

第9話 書店にて


 地下鉄経由で葛西に戻った頃には、空は濃厚な灰色の曇り空に変わっていた。しかし天気がどうなろうと早く帰る必要はないのだ。僕は葛西駅前の書店に入った。暇つぶしが目的だった。

 書店に入り、旅行雑誌が並んでいるコーナーを何気なく歩いていると、『カップルで行く東京デートスポット・おススメ特集』という表題の雑誌が目に留まった。だけどすぐに目を逸らした。

 こんな特集の雑誌なんて、カノジョがいない僕が見てもしょうがないじゃないか。でも・・

 僕は視線を先ほどの雑誌に戻すと、それを手に取ってパラパラとページをめくってみる。

 お台場、東京タワー、品川水族館・・

 誰でも知っている場所ばかりじゃないか。だけど、これらの場所がデートスポットだと知ってしまったら、もう独りでは行けないな。もし独りでデートスポットを訪れてしまった日には、周りはカップルだらけで、僕は逃げるようにその場を立ち去らなければいけない。カップルだらけの場所でカノジョのいない男が独りで歩いているなんて恥ずかしすぎるからだ。だけど、もしカノジョがいたらお台場デートなんか楽しくてしょうがないだろうな。

 カノジョと二人で乗るお台場の観覧車、レインボーブリッジなど東京湾岸の美しい夜景をカノジョと肩を寄せ合って眺める。そしてそんな夜景を眺めながらのレストランでの食事。僕はワイングラスを傾けながらカノジョと微笑ましく見つめ合う。そんなロマンティックな食事を終えたあとは、もちろんホテルへ。そしてベッドの上で激しく愛し合うのだ・・。

 蛍光灯の照明がやたら明るく感じられる店内で、僕は雑誌を開いて見入ったまま、ロマンティックな妄想に耽った。

 よし、必ずカノジョをつくるぞ。

 心の中で改めて意を決した僕は、雑誌をパタンと閉じると本棚へと戻した。そして書店を出ようと店の出入口へと向かった。

 そのとき、書店の出入口の自動ドアが開き、女子大生と思われる可愛い女性が現れた。ロングヘアの黒髪で白い清楚な感じのワンピースを着ている、まさに僕好みの美女だ。しかしそんな僕好みの美女は、目の前にいる僕を一瞥さえしないで僕の側を通り過ぎて行った。書店の自動ドアを抜けて外へ出た僕は、ため息をついた。

 せっかくこうして僕好みの美女を見かけても、何もできやしない。声をかけようにも理由がない。ナンパの達人ならなんとかできるのだろうけど、僕には、そのノウハウも度胸もない。

 学生の頃は同級生の女子と仲良くなれる機会は幾らでもあったし恋をするチャンスにも恵まれていた。しかし知人が極めて少ない東京での独り暮らしのなかでは、出会いの機会なんてほとんどない。それに、職場に好みのタイプの女性がいる可能性は高いとは言えない。仮にいたとしても、カレシがいる可能性は高い。カレシがいないとしても、必ずしも友達としてのスタート・ラインに立てるとも限らない。例え友達になれたとしても、彼女にとって僕は好みのタイプではないかもしれない。

 こうして考えてみると、好みのタイプの女性と知り合うこと自体が奇跡であり、さらに多くの偶然と段階を経て恋人同士の関係にまで発展させるには、奇跡以上の奇跡が必要になる。

 まさに“運命”でなければいけないのだ。

 しかし運命の出逢いなんてそうそうあるものではない。一生に一度か二度、あっても三度くらいのものか。

 何をもって運命の出逢いと位置付けるかによるけれど、仮に運命の出逢いというものが一目惚れによる出逢いだとするのなら、そのような運命の出逢いは二年前に起きていた・・



(次回、小説『ネット恋愛』の更新は10月3日の予定です)




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